「春になったら苺を摘みに」
梨木香歩・著。
久しぶりの単行本。
(ハードカバーは買わない。高いもん。)
季節柄ステキなタイトルだねぇ、なんて。
読んでみて思う。
これは著者の交遊録なんだなぁって。
英国留学時代にお世話になった方々との日々。
各旅行先でのふれあいを綴った日記のような。
いつもの梨木調を思い描いていると少々裏切られる感じがするけど
この交流があるから現在の梨木香歩がいるんだなと納得できるかも。
懐古しているような静かにゆったりと進む彼女の文章は
のんびりとした英国の田舎での暮らしと
相対する日本での暮らしの複合体なんだな。
戦争や人種・宗教について触れているのも興味深い。
前から彼女の文章には何かこう根底にある精神論みたいなものが
あるような気がしてならなかったんだけど
このエッセイというか物語(と呼んでもいいかも)を読むと
それがわかる気がする。
彼女の作品の登場人物に老人が多いのも何となくわかる。
それにしても、ものすごい人々と接してるなぁ・・・
それも彼女の運命なのかもなぁ・・・
「グリーン・ノウのこどもたち」の著者と会ったことがあるってのもスゴイ。
改めて梨木香歩の作品を読み直したくなる1冊でした。
苺を摘みには行きたくならなかったけど
英国に飛びたくなったワタシなのでした(おい)。